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ゆるる逆風ブログ

自分らしい生き方。周りと比べないマイペース。

マンガ「おとこの一生」

個人的に思い入れが超強い漫画。

 

主人公のつぐみは、何故か恋愛だけがうまくいかない。

結婚願望は強いものの、選ぶ相手は既婚者ばかり。

 

分かる人には分かる。

 

「初孫で何でも買ってもらえていいね」とか

 

「長女なんだからしっかりしなさい」とか

 

一人っ子は自由でいいねとか、

 

でも、お金があっても幸せじゃない場合はあるんですよね。

 

貧乏という分かりやすい記号がないので、

より報われないと思います。

 

本物の愛情がないのなら、ペットを飼っているのと変わりがないのです。

 

でも人間はペットとは違うから、

あとから後遺症が出てきてしまうんですよね……。

 

つぐみと境遇がめちゃくちゃ似ている私は号泣なしには読めません。

 

不倫はしたことないけど、

初孫だし、両親仲悪いし、一人っ子だし、、、

「異常なしっかり者」っていうとこは似ていると思います。

 

 

よくある恋愛物というよりかは、

 

「巧みに人間を避けている二人が、過去と向き合い、失うことを受け入れていく話」だと私は思います。

 

物語の上で、

「主人公達が一緒に住む」という展開は、

=「家庭環境の問題に触れなければいけなくなる」

ということを表すと思います。

 

なぜか、一緒に暮らすということは自ずと相手のこれまでの生活習慣であったり、

育ちを知るということになるからです。

 

しかもこの二人の場合は、

住んでいる場所も、その関係性も、そのことをより象徴的に表していると思います。

 

住んでいるのは祖母の家、

祖母は、この物語の中でつぐみが苦しんでいる家族を作り出した張本人というか「源」みたいな存在です。

 

どうしたらいいのか人生に悩んだつぐみは、その「源」に戻ることで

自分の人生を振り返ろうとします。

 

かなりこじれてしまっているので、つぐみは当初すべてを「リセット」することしか頭にありません。

 

「これまでの人生はすべて失敗だった、仕事をしてお金はたまったけど何だか寂しい」

「もういっそのこと死ぬか……?」

 

30代半ばにしてまさかの思春期再来です。

周りには大人の女性として見られているので、本当の思春期より大変なんです。

 

そこで、祖母に恋愛感情を抱いていた海江田醇(←文字あってるかな?)

という男が突然訪ねてきます。

 

こっちはこっちでもっとこじれてしまっています。

なかなかの高スペックなのに、いまだにつぐみの祖母のこと(初恋)を忘れられていないのです。

 

最初は「いやいやいや、そんな設定ありえんでしょ?!」と思いますが、

ここまでこじれているには理由があるのです。

 

衝突しながらも何となく日常生活を送っている二人は、

「見知らぬ子供」を世話するという出来事を体験します。

 

ここで、初めて醇の心の闇が明らかにされます。

「自分は、本当の親に捨てられた」と告白するのです。

 

つぐみもまた、「家族」を疑似体験する中で色々な思いに苛まれることになります。

 

つぐみも醇も「失いたくない」と思った過去があり、

「何も持たない」=最高のリスクヘッジだと思って生きてきたのだと思います。

 

ただ心の中で時間を止めることはできても、

本当の時間は誰にも止めることはできません。

 

自分の家庭環境を冷静に見れるようになった時には、

充分すぎるほど「大人」になってしまっていて、

もう取り返しがつかないかもしれないーーーという絶望感を強く感じるのです。

 

そういう共通点があるからこそ、この二人は次第にひかれあっていきます。

 

ただ、これ以上ないぐらい

自分と相手の嫌な部分を見せつけられる関係なので、

 

何度も何度も反発し合います。

 

「やっぱこんな自分はダメなんじゃないか」

「やっぱ、もう一度捨てられてしまうのではないか」という不安を

お互いが感じることになります。

 

 

でも、それこそが求めていたことじゃないのかなと。

本来、「自分」という存在にとって「他人」とは常に異質な存在であると私は思います。

 

「異質ではない」=「同質である」と思った瞬間に、

人間はどこまでも横暴になります。

 

家族というのはそういう意味で一番暴力的になってしまう関係かも知れません。

 

自分の子供だから、わかるだろう

子供だからこんなことわからないだろう

 

…本当に?と思いますが。

 

親に余裕がなければそんなことなかったことになりますから。

 

 

もしかして、自分は今まで閉じこもっていただけなんじゃないのか…

 

その社会的な引きこもり状態から抜け出し、

 

最終的にもっとも避けていた「家族」を形成することになります。

 

 

主人公のつぐみが、「仕事」か「家庭」かで悩まないのは

現実的ではないという書評を読んだことがありますが、

 

そんな「どっちを取るか」みたいな話ではないし、

それを言い出したらここまで人気にならなかったと思います。

 

現実では、どっちを選ばないといけない女性が多いのだと思うと

すごく悲しいことですけどね。

 

そんな簡単な話じゃないのにね…